第6章 議会及び事務局の組織体制整備(第13条―第15条)
第7章 議員の政治倫理、身分及び待遇(第16条―第18条)
第8章 最高規範性及び見直し手続(第19条・第20条)
日本国憲法は地方自治を規定しており、その本旨に基づく地方自治法は、地方公共団体の役割として、住民の福祉の増進を図ることを定めている。
幕別町長とともに幕別町民の代表である幕別町議会議員、幕別町議会は、町長等の執行機関と緊張関係を保ちながら、幕別町の意思を決定し、行政執行を監視及び評価する議事機関としての役割と責務を果たすとともに、町民の意見を反映した政策提案機能の充実を図らなければならない。
そのためには、公正かつ透明で、町民にわかりやすい開かれた議会運営のもとに、町民への情報の提供と共有化を図ることが何よりも重要と考える。議員が活発に議論を交わして結論を出し、議論の中で、町政の課題を広く町民に明らかにし、地方自治への関心を喚起し、理解と参加を得ていくことが必要である。
議会は、議会の歴史の上に立って、独自性、自立性を発揮し、常に議会改革に努めながら、町民福祉の向上を図ることを最大の使命としている。
議員は、町民の声を真摯に受け止め、期待される役割を発揮できるよう研さん努力し、さらなる改革を進めて町民の負託に応えていくことが求められている。
ここに議会は、住民自治の主権者である町民への誓約として、議員、議会の活動原則並びに議会と町民及び町長等との関係など基本的な事項を定め、議会の最高規範として、この条例を制定する。
第1条 この条例は、幕別町議会(以下「議会」という。)の基本理念並びに幕別町議会議員(以下「議員」という。)の責務及び活動原則等を定め、議会の役割を明らかにするとともに、議会に関する基本的な事項を定めることにより、地方自治の本旨に基づく幕別町民(以下「町民」という。)の負託に的確に応え、もって住民福祉の向上に寄与することを目的とする。
第2条 議会は、町民にわかりやすい開かれた議会を目指し、住民自治の観点から豊かな町づくりの実現に寄与するものとする。
第3条 議会は、次に掲げる原則に基づき活動するものとする。
(1) 町民を代表する議決機関であることを常に自覚し、公正及び透明性を確保し、町民に信頼される開かれた議会を目指すこと。
(2) 町民を代表し意思決定する議決機関として、町長等執行機関の町政運営に対する評価及び監視機関としての役割を果たすとともに、政策立案及び政策提言機能の充実強化を図ること。
(3) 町民の多様な意見を的確に把握し、必要な調査を実施して、町政に反映させるための議会運営に努めること。
(4) 町民にとって分かりやすい言葉を使うなど、町民の傍聴及び参加の意欲を喚起する議会運営に努めること。
第4条 議員は、次に掲げる原則に基づき活動するものとする。
(1) 議会の構成員として、一部の団体及び地域の代表にとどまらず、町民全体の福祉の増進を目指して活動すること。
(2) 町政の課題と町民の意見及び要望等を的確に把握するとともに、常に自己研さんに努め、町民の代表としてふさわしい活動をすること。
(3) 議会が言論の府であること、合議制の機関であること及び議員間は平等であることを十分に認識し、議員間の自由な討議を重んじること。
第5条 議員は、議会活動を行うに当たり、議長に申し出て会派を結成することができる。
2 会派は、政策を中心とした理念を共有する複数の議員で構成し、政策立案、政策決定、政策提言等に関し主体的に活動するものとする。
3 議会は、会派に所属しない議員の意見が議会運営に反映されるよう配慮しなければならない。
第6条 議会は、町民に対し情報を公開し、説明責任を十分に果たさなければならない。
2 定例会及び臨時会(以下「本会議」という。)のほか、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)並びに全員協議会は、公開しなければならない。
3 委員会の運営に当たっては、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用し、専門的又は政策的識見等を議会の討議に反映させるよう努めなければならない。
4 請願及び陳情の付託を受けた委員会は、これを町民による政策提案と位置づけ、その審査においては、必要に応じて提案者の意見を聴く機会を設ける。
5 議会は、議員と町民が町政全般にわたり情報及び意見を交換する場を多様に設けるよう努めなければならない。
第7条 議会は、町民が議会と町政への関心を持つことができるよう、多様な議会広報広聴活動に努めなければならない。
2 議会は、議員と町民との意見交換の場として議会報告会を開催しなければならない。
3 前2項に定めるほか、議会の広報広聴に関する事項は、別に定める。
第8条 議員と町長その他の執行機関の長及びその補助職員(以下「町長等」という。)は、次に定めるところにより、議会審議を行うものとする。
(1) 本会議における議員と町長等との質問又は質疑(以下「質問等」という。)及び答弁は、広く町政上の論点及び争点を明確にして、一問一答方式又は一括方式で行うものとする。
(2) 町長等は、本会議における議員又は委員会に属する議員(以下「委員」という。)の質問等に対し、答弁に必要な範囲内で趣旨を確認するため、反問することができるものとする。
2 前項の議決すべきものに関する事項は、別に定める。
3 町長は、議会に政策、計画、施策、事業等(以下「政策等」という。)を提案するときは、政策等の水準を高めるため、次に掲げる政策等の形成過程の説明を明らかにするよう努めるものとする。
(3) 他の地方公共団体の類似する政策との比較検討
第10条 議会の運営は、原則として委員会での審査及び調査を経た後、その結果をもとに、本会議において審議及び表決を行う委員会中心主義によるものとする。
第11条 委員は、審査に当たって委員相互間の自由な討議に努めるものとする。
2 委員は、議員、委員会及び町長の提出議案並びに町民提案に関し、審査し結論を出す場合は、委員相互間の論議を尽くし、合意形成を図るよう努めなければならない。
第12条 委員会は、社会経済の情勢等により新たに生じる町政課題に迅速かつ的確に対応するため、委員会の専門性と特性を考慮し、適切な運営に努めなければならない。
2 委員会は、委員の資質向上及び政策の充実に資するため、独自に調査研究するよう努めるものとする。
3 委員会は、町政課題に柔軟に対処するため、議員及び町民が自由に情報及び意見を交換する懇談会等を積極的に開催するよう努めるものとする。
4 委員会は、審査等に当たっては、資料等を積極的に公開しながら、町民に対し分かりやすい議論を行うよう努めなければならない。
5 委員会の委員長は、委員会の秩序保持に努め、委員会報告に対する質疑については、責任を持って答弁しなければならない。
6 前各項に定めるほか、委員会に関する事項は、別に定める。
第13条 議会は、議員の資質の向上を図るため、議員研修の充実強化に努めるものとする。
2 議会は、議員研修の充実強化に当たり、議員研修会を積極的に開催し、町政課題を広い視点から捉えるため、他の地方公共団体事例等を調査研究する機会を設けるよう努めるものとする。
第14条 議長は、議員の調査研究及び資質の向上に資するため、議会図書室の充実に努め、適正に管理し運営するものとする。
第15条 議長は、議会の政策形成及び政策立案能力を向上させ、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の調査及び法務機能の充実強化を図るものとする。
第16条 議員は、町民全体の奉仕者として人格と倫理の向上に努め、自己の地位に基づく影響力を不正に行使することによって、町民の疑惑を招くことのないよう行動しなければならない。
第17条 議員の定数は、人口、面積、財政力及び町の事業課題並びに類似町村等との比較検討をするとともに、多様な町民意思を十分に反映でき、かつ、合議制の機関として活発な議論が可能となるよう、総合的な観点から決定するものとする。
第18条 議員報酬等は、そのあり方を含め、その額が議員の職務及び職責に見合うよう適時に見直しをするため、
幕別町特別職給料及び議員報酬審議会条例(昭和48年条例第34号)に定める審議会の意見を参考にするものとする。
第19条 この条例は、議会の最高規範であり、議会に関する他の条例、規則等を解釈し、又は制定し、若しくは改廃するに当たっては、この条例の趣旨を尊重し、この条例に定める事項との整合を図らなければならない。
2 議会は、議員にこの条例の理念を浸透させるため、一般選挙を経た任期開始後すみやかに、この条例の研修を行わなければならない。
第20条 議会は、必要に応じて、この条例の目的が達成されているかどうかを議会運営委員会において検討し、その結果を公表しなければならない。
2 議会は、前項の検討の結果に基づきすみやかに、この条例の改正を含む適切な措置を講ずるものとする。
3 議会は、この条例を改正するに当たっては、本会議において、改正の理由及び背景について詳しく説明しなければならない。